大自然の中につくられる観光道路やロープウェイに対しては、眉をひそめることしばしばだが、できてしまえばそれを使わずして山に登ることなど考えられない。ロープウェイ待ち2時間などという噂を聞いて尻込みしていたが、梅雨がいつまでも明けないような不順な天候の中、今日の午前中だけは少なくとも雨は降らないとふんで、休暇をとって木曽駒ケ岳へ出かける。
(左)コバイケイソウ揺れる千畳敷カール。(右)カール上部から見下ろしたロープウェイ駅。
7月末(つまり今日)までは、午前6時にロープウェイまで行くバスの運行が始まるので、その時間をにらんで、6時わずか前に菅の台の駐車場に到着。一番バスを待つ列は30人程度。ロープウェイも7時発の一番に乗り、千畳敷から歩き始める。千畳敷カールの上部は霧が覆っていたが、少しずつ晴れていくようだ。花畑の周遊路を右から半周してから、雪渓を経てカールを登って行く。例年より花は少ないという話だが、それでもコバイケイソウ・イワカガミ・チングルマ・ハクサンイチゲ・シナノキンバイ・イワツメクサなど。振り返ると、霧の合間にロープウェイの駅が見えるというのも何となく可笑しい。汗を絞らされて稜線に到着。
(左)中岳から頂上小屋の向こうに木曽駒ケ岳山頂。(右)宝剣山荘とその背後に宝剣岳。
すぐ左に宝剣山荘。霧に覆われて伊那前岳方面がわずかに見える程度。しかし、中岳にゆるやかに登って行くと霧が晴れ、頂上小屋越しに山頂部が見える。頂上小屋にいったん下り、コマクサが傍らに咲く道を登り返して木曽駒ケ岳山頂。霧は少し晴れたものの、宝剣岳・三ノ沢岳そして遠く空木岳の山腹が見える程度。祠が多いのが、古くから信仰を集めた山であることを示している。
宝剣山荘まで戻って宝剣岳に向かう。途中から鎖の連続となり、足元が切れ落ちた箇所があり気を抜けない。山頂から極楽平側の方が厳しいような気がした。遭難碑のある場所まで来れば、その先コマウスユキソウを見ながらしばし楽しい稜線歩き。しかし極楽平まで来たところでついに雨が落ちてきた。雨具をつけ、カールの花畑を楽しみながら、ゆっくりロープウェイ駅までくだった。駅周辺は軽装の団体客であふれていた。
ラベル:木曽駒ケ岳