安曇野の西、北アルプスの前衛の里山。ガイドブックやネットでは結構なヤブ山と書かれていて躊躇していたが、行ってみると道標も整備され、笹の切り開きもされている。ヤブっぽい雰囲気は残っているものの、道形もはっきりしていてヤブ漕ぎは杞憂に終わった。
(左)富士尾山山頂直下は気持ちよい尾根道。(右)山頂から燕岳・有明山の展望は木の間越しにこの程度。
旧穂高町から西の山あいに入ったところにある満願寺。その入口にかかる橋を左に見て通り過ぎ、ダートの林道を北ノ沢に沿って進めると、やがて右手に「富士尾山登山口」と書かれた小さな道標。林道の広くなったところに車をとめ、登りはじめる。ひとしきり登ると「茸山・入山禁止」の立札。赤いテープが張られ、右へ迂回するように誘導している。茸の季節は終わっているが、素直に指示に従えばやがて尾根の突端にのり、右からアートヒルズ方面からの道が合流する。すぐ横に有刺鉄線に囲まれたコンクリート製の源泉の施設がある。
アカマツと砂礫の尾根道をゆるやかに登っていく。途中、右手に崩壊地があり安曇野が見おろせる。たどり着く最初の小ピーク(1086峰)には馬頭観音の石仏。その先は道標に従い、尾根のやや右に寄った松林の登りが続く。道沿いに張られてきた茸山のテープが消える頃、「天狗の中庭」と標識のある2つめの小ピークに登りつく。このあたりから笹が高くなるものの、切り開かれている。道順を示す赤テープや笹の切払いがされなければ苦戦するところだろう。薄暗いヒノキ林の中を通り、登り返しはやがて溝状の道に。下山時にはこの溝状の道をそのまま下らずに、途中から左にそれることに注意(赤テープがある)。3つめの小ピーク(1169峰)には右に面白い枝振りのアカマツがある。
平坦な尾根道が続き、やがて左手にきれいに整ったカラマツ林が広がる。松がはえているような大岩を過ぎると二重山稜の右側の急登がしばらく続く。登りが緩めば、山頂まで大きな上下はない。葉を落とした雑木の中の明るい尾根道は気持ちよい。左手、木の間越しに燕岳や有明山が見えて、元気が回復してくる。やがて到着する山頂は尾根上の小ピークのようで、期待していたような山頂らしさがなく拍子抜けするが、安曇野側は切り開かれ大きな展望がある。期待の燕岳・有明山方面は木の枝越しに見えるだけだった。山中、登山者にひとりも会うことはなかった。下山は往路を戻った。
(左)富士尾山・山頂は稜線上の小ピークといった雰囲気。(右)山頂からの安曇野の展望。
ラベル:富士尾山