2018年07月13日
槍ヶ岳[槍沢から](松本市/大町市)
早朝の槍ヶ岳山頂から見た穂高連峰と富士山
第1日[7月11日]沢渡910=(アルピコ交通バス)945上高地バスターミナル955-1224横尾1255-1354一ノ俣谷-1436槍沢ロッヂ
第2日[7月12日]槍沢ロッヂ620-716水俣乗越分岐-811天狗原分岐823-922坊主岩屋下941-1013殺生小屋下1023-1115槍ヶ岳山荘[午後は雨天につき停滞]
第3日[7月13日]槍ヶ岳山荘427-447槍ヶ岳502-518槍ヶ岳山荘622-728千丈乗越分岐-850槍平小屋900-955滝谷出合-1103白出沢出合1114-1238新穂高温泉バス停1255=(濃飛バス)1328平湯温泉1350=(濃飛バス)1410沢渡
いまさら説明不要の一般初級コースだけれど、やはり槍ヶ岳にはじめて登るならこのコースということになるのだろう。沢渡の駐車場に車をとめ、シャトルバスで上高地へ。この時間では登山者の姿は疎ら。外国語が飛び交う河童橋を過ぎ、明神を過ぎれば観光客の姿を見なくなる。横尾までは梓川に沿う広い道を淡々と歩く。
(左)槍沢に沿う道。(右)1日目宿泊は槍沢ロッヂ。
横尾を過ぎれば少しは山道らしくなるが、槍見河原からも雲が多くて槍は見えない。晴れ間が少なく、あまり暑くないのが救い。一ノ俣・二ノ俣を木橋で渡り、沢沿いから石段状の登りが続くようになって槍沢ロッヂに到着。沢沿いの樹林帯の中の小屋。宿泊者は10人ほどでゆっくり休むことができた。水が豊富なので入浴できるのが嬉しい。
(左)ババ平からは沢のすぐ右を歩く。(右)だんだん急になるが花畑もあらわれる。
翌朝は天候がやや不安なまま出発。右手に赤沢山を囲む岩頭、左手には横尾尾根のスラブ状の斜面を見ながら、ダケカンバと針葉樹林が交互にあらわれる槍沢の左岸を進む。ババ平のテン場を過ぎれば、谷の景色は開けてきて河原の右脇を進む。水俣乗越分岐から大曲あたりでは、野猿があらわれ虫も煩い。沢を雪が覆うようになり、だんだん道は急になる。前方の山頂方面は霧が覆っている。
(左)雪渓をトラバース。(右)ハイマツの中のガラガラとした道はこの先でも雪渓を渡る。
天狗原分岐の前後はコバイケイソウ・ハクサンイチゲ・イワベンケイ・シナノキンバイなどの花畑。その先はジグザグの登りだが、意外と歩きやすい。最後の水場で補給。ハイマツ帯になり、雪渓を2箇所横断する。ステップやトレースがありアイゼンは不要。ハイマツと残雪のコントラストは美しいが、霧雨になってきた。ヒュッテ大槍への分岐を過ぎ、播隆上人の岩屋を通過。
(左)一瞬、霧の中から槍ヶ岳が姿を見せる。(右)槍ヶ岳山頂直下で見た雷鳥。
岩がゴロゴロした登りに、さらに2箇所の雪原を通過。右手に殺生小屋が見える。チングルマなど花々が点在。一瞬、霧が晴れて槍ヶ岳があらわれ、すぐ隠れた。最後のジグザグの登りで、道脇に雷鳥の親子があらわれる。視界が優れない中を登ったためか、意外とあっけなく槍ヶ岳山荘に到着。程なく雨が降り始めた。宿泊の手続きをして、明朝までの晴れたタイミングで山頂へ登ることに。結局、午後は雨が続き停滞状態。
(左)槍ヶ岳山荘から見た槍ヶ岳山頂。(左)槍ヶ岳山頂。後方は北ア北部の山並。
槍ヶ岳山荘の宿泊者は70~80人程度で適度。英語・ハングル・中国語なども聞かれ国際的。翌朝は晴れたので、朝食前に韓国人グループに前後して槍の穂先に登る。鎖や梯子など高度感はあるがそれほど難しくはない。山頂からは穂高連峰や富士山、北アルプスの並みいる山々を望むことができた。
(左)山頂から山荘を見おろす。(右)槍沢の谷を見おろす。殺生ヒュッテが見える。
下山は、そのまま上高地に下るのも面白くないので新穂高へ。大喰山への鞍部、飛騨乗越から西の飛騨沢の谷へと下る。浮石が多いガラガラの下り。両側を花々が彩り、右手に西鎌尾根、正面は山頂部を雲に隠した笠ヶ岳。悪くない景色だ。千丈乗越分岐からはナナカマドなどの低木帯に。ダケカンバの林となり、岩がちの下りから水量のある大喰沢を渡渉。針葉樹林とダケカンバが混在するようになり、平坦地にある槍平小屋へ。
(左)飛騨乗越からの下りは足元が悪いが花は多い。前方の雲の中には笠ヶ岳。(右)千丈乗越分岐から下ってきた谷を振り返る。
ここからもなかなか道は長い。かなりの水量がある南沢と滝谷も渡渉。渡る場所は慎重に見極めないといけない。右俣谷の左岸を行く勾配の少ない樹林帯の道ながら、足元の累々とした岩は昨日の雨で滑りやすい。堰堤のある白出沢出合からは、右俣林道を下って新穂高温泉へ。明日から連休なので、槍ヶ岳からの下山では次々と登ってくる人々とすれ違った。
(左)槍平への下りで見た穂高連峰。
新穂高温泉からは濃飛バスで、途中、平湯温泉で乗り換えて沢渡へ戻り車を回収。全体として天候にさほど恵まれなかったけれど、晴れ間に山頂に立てただけでも充実感が得られた。
[参考]
バス 沢渡~上高地バスターミナル 1,250円
槍沢ロッヂ 1泊2食 9,800円
槍ヶ岳山荘 1泊2食 9,800円
バス 新穂高温泉~平湯(乗換)~沢渡 2,120円
沢渡駐車場(3日間) 1,800円
坂巻温泉(松本市)
下山後は沢渡と中の湯の中間にある坂巻温泉で汗を流す。いつか訪れたいと思っていたが、国道158号のトンネルを出てすぐ左折しなければならず、入りにくい場所にあるためいつも躊躇っていた。外来入浴は16時までというのもハードルになっていた。
受付の対応は丁寧な印象。露天と内湯は少し離れた場所にある。内湯は沢に向かって窓が開き、洗い場が4つ。きれいで清潔。ほのかな硫黄臭ただよう湯が掛け流し。湯の花が舞っている。源泉75度のため、湧水を加え冷やしているという。階段を下った場所に仮設風の脱衣所があり、岩組みの露天風呂が沢の方向に開かれている。他に客の姿はなく、ゆっくりと入浴することができた。(おとな入浴:600円)