2019年08月19日

北岳(山梨県南アルプス市)

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肩ノ小屋からの下りで北岳山頂部を見返す。

第1日[8月18日]芦安駐車場515=(山梨交通バス)=613広河原(インフォメーションセンター)636-700白根御池分岐-910大樺沢二股945-1230八本歯のコル1250-1350吊尾根分岐1400-1428北岳1440-1513北岳肩ノ小屋[泊]
第2日[8月19日]北岳肩ノ小屋554-608小太郎尾根分岐614-621草すべり分岐-740白根御池小屋758-958白根御池分岐905-1028広河原1055=(乗合タクシー)=1140芦安駐車場

海外に長らく赴任していた友人が帰国したので、一緒に北岳に登ることになった。山麓の芦安温泉で前泊。翌早朝、車で5分ほどの芦安駐車場へ。バス停近くは満車のため少し下った第4Pに駐車して、芦安駐車場始発バスに1時間ほど乗車して広河原へ。インフォメーションセンターで身支度を整え、登山届を提出して出発。すぐに野呂川に架かる吊橋を渡り、広河原山荘の前を通過して、緩やかな樹林帯の登りとなる。

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(左)登山道入口。前方にこれから進む沢筋が見える。この先で吊橋を渡る。(右)大樺沢を渡し返しながら進む。

左下には大樺沢。白根御池への道を右に分け、右手から流れる沢を渡る。大樺沢を左(右岸)に右にと、パイプの橋で渡る。道に沢水が流れている箇所も多い。前方の稜線は霞んでいる。道の左右には白いセンジュガンビや紫のミヤマハナシノブ・ホウオウシャジンが咲いている。ハクサンフウロを見ながら進めば道は沢に近づき、木陰は少なくなる。前方の左俣には雪渓が見えてくる。

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(左)大樺沢二股。前方右手に白いトイレが見える。(右)雪渓の脇を登る。

大樺沢二股までは沢沿いの緩やかな道という思い込みがあったけれど、けっこう段差もあり消耗させられる。アラカンのコンビなのでつい休みがちになって、終始ペースは上がらない。チップ制トイレが設置されている大樺沢二股で休憩。左右どちらに進むか迷ったけれど、明日の天候が悪そうなので左俣を進み、今日中に山頂を踏むことに。

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(左)八本歯のコル直下は木段が連続する。(右)霧の間に北岳バットレスを望む。

左俣の右側(左岸)を進み、雪渓のすぐ脇を登る。斜面は至るところ花畑。救助ヘリが飛んできて沢の上部に救助隊員を降ろしたけれど、前日のバットレス滑落事故の関係か。雪渓が途切れると足元がガラガラした登りとなる。道標に沿って右に曲がるとひと登りで尾根上に出て、正面の霧の間にバットレスが見える。左折して登る尾根は急な木段の連続でつらい。八本歯のコルに至り、ほっとする。

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(左)八本歯のコルから尾根を進む。(右)吊尾根分岐から北岳へあと少し。

右へと尾根をたどる。ハイマツの中の岩の重なる道を、小ピークを越えて進む。北岳山荘への巻道を分けた先、小丸太の階段状の斜面の両側には花々が咲いている。肝心のキタダケソウははっきりわからなかったけれど。吊尾根に登り着くと、一瞬、視界が晴れて近くの展望は開けたが、すぐに再び霧に覆われた。岩場の急な登りを経て進めば北岳山頂に到着。

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(左)霧で視界のない北岳山頂。(右)山頂から肩ノ小屋間で見た雷鳥。

時間帯のせいか、天候のせいか、山頂には誰もいない。しばらくすると肩ノ小屋から空身で数グループが登って来た。雲に遮られて視界はほとんどないものの、北東方向には雲間微かに鳳凰三山が認められた。肩ノ小屋に向かって下る途中では雷鳥の姿を見ることができた。岩の模様と同化して写真で撮ってもみつけにくい。

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(左)肩ノ小屋。(右)朝日に浮かぶ鳳凰三山。

午後3時過ぎに肩ノ小屋に到着。到着してしばらくすると、雨が激しく降り始めた。本日はここで宿泊。混雑を覚悟していたが、意外と空いていた。同行者の希望もあり、今回は寝袋持参で素泊まり。翌朝のご来光も雨は降っていないものの、雲が多くてはっきりせず。富士山・鳳凰三山・甲斐駒・仙丈の姿は見ることができた。

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(左)肩の小屋から早朝の富士山。(右)肩ノ小屋から北側の稜線へ。

下山は白根御池経由。小太郎尾根分岐までは、気持ちの良い稜線歩き。その先で二股への道を右に分けた先は、草すべりの急斜面。マルバダケブキ咲くダケカンバの林の中、足元の段差も大きい急な下り。やがて樹林帯を抜けると花畑越しに御池が見えてくる。白根御池小屋では美味しい水を飲むことができた。

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(左)ダケカンバの樹林帯に草すべりの急坂。(右)樹林帯を抜け白根御池が見える。

小屋からしばらくは針葉樹林帯の巻道。沢をいくつか横切って進んだ先、右折して標高差500mの下り。樹林帯の中を延々と続く下りは足にこたえる。ようやく大樺沢沿いの道に合流し、広河原へと帰り着いた。バス出発時刻まで待たずに、他のグループと一緒に乗合タクシーを頼み芦安まで戻ることができた。天候がよくなくて視界は開けなかったけれど、歩行中には雨にあわなかったし、多くの花や雷鳥にも出会えて楽しめた。

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(右)広河原に向けて急な下りが続く。

[参考]
山梨交通バス 芦安駐車場~広河原 1,230円(利用者協力金200円含む)
北岳・肩ノ小屋 1泊2食(寝具なし) 7,700円 
乗合タクシー 広河原~芦安駐車場 1,300円(利用者協力金200円含む)
posted by 急行野沢 at 22:00| Comment(0) | 登山(南アルプス) | 更新情報をチェックする

2019年08月12日

池の平湿原~三方ヶ峰・見晴岳(東御市)

池の平駐車場1045-(池の平湿原)-1115三方ヶ峰1125-1140見晴岳1225-雲上の峰-1250池の平駐車場

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(左)池の平湿原。(右)三方ヶ峰からコマクサ保護地越しに千曲川を見おろす。

猛暑の中、汗を滴らせるような登山をする気はないけれど、高原の爽やかな風を浴びたい。そんな気持ちで家内と出かけたのが、何回も訪れたことのある池の平湿原。池の平駐車場に車をとめ、さてどこを歩こうかとなれば、池の平湿原にまずは下り、三方ヶ峰・見晴岳を経由するコースをとることなる。

湿原を歩く人は多い。ハクサンフウロ・マツムシソウ・ノアザミ・マルバダケブミ・カワラナデシコ・ウメバチソウ・イブキジャコウソウなど、花の種類も多い。湿原を過ぎ、三方ヶ峰への緩やかな登り。保護された囲みの中に、コマクサの姿が垣間見られた。そこから下り登りで見晴岳。眼下に千曲川沿いの平地。右手遠くの雲の上に槍穂高連峰が望めた。正面の八ヶ岳方向は雲の中。

右手にところどころ湿原を見おろしながら、稜線をたどる。クガイソウが見られる。雲上の丘では、湿原・籠の登山・湯の丸・烏帽子が望めた。立ち止まると風が涼しい。雷の丘・村界の丘を経て、駐車場に戻った。

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(左)見晴岳から槍穂高が見えた。(右)雲上の丘付近から池の平湿原を見おろす。

[参考]池の平駐車場 500円
posted by 急行野沢 at 22:00| Comment(0) | 季節の散策(花・湿原など) | 更新情報をチェックする

2019年08月06日

黒部五郎岳[新穂高温泉から往復](岐阜県高山市/飛騨市/富山県富山市)

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カールから黒部五郎岳へと登る斜面には一面のコバイケイソウ。

第1日[8月4日]平湯温泉バスターミナル700=(濃飛バス)=732新穂高温泉バス停741-840笠新道入口-910小池新道入口-1003秩父沢1008-1132シシウドヶ原1143-1238鏡平小屋1308-1400弓折乗越-1421花見平-1510双六小屋[泊]
第2日[8月5日]双六小屋532-(中道)-636稜線合流-725三俣蓮華岳752-822三俣山荘分岐-915黒部五郎小舎943-1055雷岩1100-1212黒部五郎岳1300-1357雷岩1402-1450黒部五郎小舎[泊]
第3日[8月6日]黒部五郎小舎450-610三俣山荘分岐625-700三俣蓮華岳721-811稜線分岐820-(中道)-914双六小屋933-1028花見平1034-1046弓折乗越-1119鏡平山荘1146-1217シシウドヶ原-1307秩父沢1320-1359小池新道入口-1429笠新道入口-1519新穂高ロープウェイバス停1555=(濃飛バス)=1628平湯温泉バスターミナル

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(左)小池新道入口。(右)小池新道の登りから振り返る。

カール(圏谷)の風景が魅力的な黒部五郎岳。新穂高温泉から小池新道を登るのは、昨年、双六・三俣蓮華を訪れたときと重なるコース。前回同様、平湯温泉街の安価な駐車場をネットで予約。バスで平湯から新穂高へ移動する。新穂高温泉バス停から林道歩きで笠新道入口・わさび平小屋を過ぎ、小池新道へと入る。石が重なる階段状の道は樹林帯に出入りしながら登る。左からの涸沢や小沢を横切り、秩父沢で水を補給。

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(左)鏡池からの槍穂高の景観。(右)鏡平山荘。

風が通らないためか、この道はいつも猛烈に暑い。シシウドヶ原で道は右折し、山腹樹林帯の南側を巻いた後、熊の踊り場という小湿地を経て、谷状の地形を登りつめて鏡平。今日は鏡池からの槍穂高は雲の中だったが、帰路(3日目)には望むことができた。熱い身体を、鏡平小屋のかき氷でクールダウン。前方にはこれから進む稜線が見える。樹林帯の急登の後、弓折中段からトラバース気味に弓折乗越へ登り詰める。

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(左)雪の残る花見平。(右)鷲羽岳を背景として双六小屋が見えてくる。

花の点在する稜線を進み、残雪の花見平へ。この季節はハクサンボウフウが主役。右手に槍ヶ岳を見ながら、稜線右側の縁を進む。右手斜面は花畑。稜線の左に道が移ると、鷲羽岳を背景に双六小屋が見えてくる。遠くから雷鳴が聞こえてきたが、あとは緩やかに山腹左下のハイマツ帯を下って双六小屋に到着。暑さのせいか、バテバテ状態。多くの登山者で賑わっていたが、今日は布団1枚をひとりで確保できてまずまず。

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(左)コバイケイソウ咲く双六岳中道。(右)三俣側から槍ヶ岳・双六岳を望む。

翌日は三俣蓮華岳経由で黒部五郎岳を目指す。最初の急登の後、分岐で中道を選ぶ。双六岳山腹の雪渓を見上げ、道の左右には花畑。シナノキンバイやチングルマ。特に素晴らしいのはコバイケイソウ。今年は当たり年なのか。花畑の先を登り稜線ルートに合流。丸山の展望の良い平坦な山頂を越え、鞍部から緩やかに登り三俣蓮華岳山頂。目指す黒部五郎岳や薬師・水晶・鷲羽・槍・笠など北アルプスの名峰を見渡す。

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(左)三俣蓮華岳手前から黒部五郎岳を望む。(右)三俣蓮華岳から水晶岳・鷲羽岳。

三俣蓮華岳からは右下に残雪を見ながら、途中、右に三俣山荘への巻道を分け、痩せた尾根で高度を下げる。シナノキンバイが足元を彩る。緩やかな小ピークを過ぎ、道標で左に曲がった先は、一面チングルマの花畑。笠ヶ岳を背景とした風景は素晴らしい。道はやや右に曲がりながら樹林帯に入り、黒部五郎小舎へ足元が岩で滑りがちな急坂を下る。

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(左)黒部五郎小舎への途中、笠ヶ岳を背景に一面のチングルマ。(右)眼下に黒部五郎小舎、前方に黒部五郎岳。

黒部五郎小舎で宿泊の受付を済ませ、荷を軽くして黒部五郎岳へと向かう。カールの中を進むコースを選択。笹原・ハイマツ帯からダケカンバなどの樹林帯を進む。左から流れ出る沢をいくつか越えて行く。ようやく樹林帯を抜け、しばらく進むとカールの最低部に出る。右上に雷岩が見え、豊富な水量の沢が流れている。ここからはカールの絶景の中を進む。

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(左)チングルマ咲くカールから見上げる。(右)肩から黒部五郎岳山頂を望む。

巨岩(迷子石)が点在し、コバイケイソウをはじめチングルマ・ハクサンイチゲなどが斜面を彩っている(冒頭写真)。雪解け水も流れている。最後に急な登りで稜線にたどり着き、左へ進んで北ノ俣岳からの道を合わせる。あとはガラガラの登りで黒部五郎岳山頂に到着。三角点と山名板が置かれただけのシンプルな山頂。眼下に見下ろすカールが目を奪う。鷲羽岳など裏銀座方面の山々や雲の平が目の前に見える。

しばらく山頂で過ごしてから、来た道を黒部五郎小舎まで戻り1泊。小屋は適度な賑わい。翌日は往路を三俣蓮華岳・双六小屋・鏡平経由で新穂高まで下山した。猛暑のせいか体調がいまひとつだったけれど、北アルプスのど真ん中からの絶景や花畑を楽しむことができた。

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(左)黒部五郎岳山頂。正面に鷲羽岳が見える。

[参考]
平湯温泉つゆくさ横駐車場(akippa:駐車場ネット予約システム)3日間 972円
濃飛バス 平湯温泉~新穂高ロープウェイ 片道890円
双六小屋   1泊2食 10,300円
黒部五郎小舎 1泊2食 10,300円
posted by 急行野沢 at 22:00| Comment(0) | 登山(北アルプス・乗鞍) | 更新情報をチェックする