野反湖の周囲の山々はすべて登った気になっていたが、よく地図を見ると八間山に登っていない。野反湖畔を訪ねた人がまず登ってみたくなる山。私も最初にこの地を訪れたときに途中まで登って湖を見下ろしたが、そのまま山頂まで登った気になっていたのかもしれない。いずれにしても登りに行かなければならない。長野原からR292そしてR405を北に向かう。
(左)八間山登山道。(右)八間山山頂。
道すがら妙に警官やパトカーの数が多いと思ったら、草津で静養中の天皇陛下が野反湖畔をハイキングされるという。ただ、湖畔を散策されるとのことなので、八間山への登山に支障はなさそうだ。ものものしい雰囲気の野反湖入口富士見峠駐車場に車をとめ、登り始める。笹原の中の道に沿って、ハクサンフウロやリンドウなど、晩夏のこの時期になっても花は多い。笹原の中につけられた道ははっきりしている。
最初のピークを過ぎると、左手にザレ場を見たり、樹林帯を進むところなど変化も見せる。霧が濃くなり、山頂の方向はよく見えない。2つめのピークには「イカ岩の頭」の標柱が立てられている。最後はややきつい登りをこなせば、壊れかけた小屋(測候所の観測施設だったらしい)のある八間山山頂。霧で展望は皆無。下山は北へ向かう。こちらはしっとりとした針葉樹の樹林帯が続く。野反湖東側の車道に出て、野反湖終点バス停を経て、野反湖ロッヂの前へ。
(左)花畑が広がる。対岸の八間山は霧の中。(右)野反湖西岸のダケカンバの林。
ちょうど天皇陛下が野反湖西側の周回路から野反湖ロッヂに到着されるタイミングであり、関心はさほどなかったが警備の人に促がされて20人ほどのお迎えする列に加わる。麦藁帽子をかぶりミレーのザックを背負った陛下は、ロッヂに入る前に我々に気さくに声をかけられた。「ダケカンバの林が綺麗でしたよ」と話された。
富士見峠まで行って車を回収しなければならないので、帰りのルートを決めかねていた私も湖西側の湖畔の道を戻ることにする。ところどころに花畑があるが、盛りを過ぎた感じ。やはり、ダケカンバの林相がことのほか美しい。対岸の八間山の上部は霧の中で相変わらず姿を見せない。霧でほとんど視界がなくなって、富士見峠にたどり着いた。