2018年11月24日
田立の滝~天然公園(南木曽町)
天然公園の展望櫓から、左奥に穂高連峰、右は中央アルプス。
粒栗駐車場835-915不動岩展望ベンチ-937天河滝-1017林道・避難小屋1020-1054林道終点-1110天然公園1148(周回路)-1213林道終点-1242避難小屋-1255不動岩展望台1306-1322避難小屋-1354天河滝1400-1418不動岩展望ベンチ-1444粒栗駐車場
「天然公園」という名を知ったときは、何のことか解らなかった。観光地的な公園ではなく一応は登山の対象らしいが、顕著なピークというわけでもない。どんな場所かわからないけれど、田立の滝を経由して林道に出て……というルートの特異性には興味があった。小春日和の一日、木曽路を南下し、田立の滝入口の粒栗駐車場に車をとめる。この時間、他に車はいない。
(左)坪栗駐車場。(右)各所に樹種の説明板。
滝見物の遊歩道なのでよく整備されている。樹林帯の中、大きく折り返しながら緩やかな勾配。道脇にサワラ・モミ・ケヤキ・マキ・ヒノキ・ツガといった樹種の説明板がある。滝に至るまでは少し退屈な道程であり、それを紛らわすためか。「サワラ大師」の案内板を過ぎて右に折れれば、あとは右下に谷を見て山腹をトラバースする。右手に不動岩の展望があるベンチ前後はほぼ水平道。桟橋が連続する。
(左)不動岩を見上げる。(右)天河滝下の金属階段。
右手に螺旋滝への道を見送ると、勾配が少しずつ増す。目の前に霧ヶ滝があらわれ、ここからが田立の滝の核心部。急な金属製階段を登って、天河滝を見上げる。田立の滝の主瀑であり、水量の少ない季節だが見事。ジグザグに登って、沢の右(左岸)へ左へと吊橋で渡り、不動滝の下に出る。ちどり桟橋という木製の階段はちょっと怖い。その先、雲上橋を右に渡り不動岩展望台に登るのが本来のルートだが、今日は通行止め。
(左)天河滝。(右)不動滝と左側にちどり桟橋。
迂回路として、沢の左の緩やかな道を直進する。吊橋を渡り、右手の山腹を登り詰めれば林道に出る。その脇に避難小屋が建っている。ここからは林道を淡々と進む。両側はヒノキ林。30分強で林道終点。案内標に従って山道に入る。両側の笹がややうるさい樹林帯の道。途中、右手に避難小屋がある。木道になり湿原があらわれる。規模はごく小さいが、これまでのヒノキ林からは意外な舞台転換。
(左)林道に出たところには避難小屋。(右)天然公園の一角に小湿原が広がる。
その先わずかで、木製の展望櫓がある天然公園の中心へ。やや薮っぽい小広場。櫓の上からの展望は意外に良くて、右手に木曽駒・空木・南駒など中アの主要な山々。正面遠くに穂高連峰。左手は木の間越しに乗鞍・御嶽。なお、標識には1580mと書かれているが、もっと低いと思う。休憩の後は天然公園の周回路(あまり見どころはない)を歩いてから、往路を林道の避難小屋まで戻った。
(左)天然公園。展望櫓がある。(右)人力で掘った素掘トンネル。
林道をさらに進み、素掘のトンネルを抜ける。その先の案内板に沿って林道から右に下り、不動岩の展望台へ。眼下に木曽川が流れ、その向こうには恵那山が聳えている。東濃の丘陵が続いているのが展望できる。ここから滝方面に下れば早いが通行止め。避難小屋まで戻り、再び滝を見ながら粒栗駐車場に戻った。途中、20人ほどとすれ違い(多くは不動岩まで)、戻ったときには駐車場の車は10台以上になっていた。
(左)不動岩展望台からの眺め。眼下に木曽川、左奥に恵那山。
[参考]粒栗駐車場(協力金) 200円
2018年10月05日
御嶽山[御岳ロープウェイから剣ヶ峰](木曽町/王滝村)
八合目付近からの山腹の紅葉
御岳ロープウェイ鹿ノ瀬駅825=838飯森高原駅845-850七合目行場山荘-940八合目女人堂945-1043石室山荘1048-1107二ノ池分岐-1127御嶽山(剣ヶ峰)1144-1158二ノ池分岐-1211石室山荘-1302八合目女人堂1324-1402七合目行場山荘-1410御岳ロープウェイ飯森高原駅1413=1427鹿ノ瀬駅
2014年9月27日の御嶽山噴火では登山者ら58人が死亡し、日本における戦後最悪の火山災害となった。しばらく御嶽山登山はできないと思っていた。ところが9月26日に、黒沢口登山口の九合目二ノ池上分岐から山頂までの立ち入りが解除された。これは10月8日正午までの限定的なものであったが、やはりこの機会に登っておきたいと考え、御岳ロープウェイに向かった。
(左)七合目から八合目への登り。
雨模様の天気なのに、ロープウェイ運行開始の8時30分には乗場に30人ほどの列ができた。ロープウェイと名乗るが、6人乗りのゴンドラが次々と発車する。10数分の乗車で標高2,150mまで労せずして到達する。見下ろす山腹は紅葉に染まっている。細かい霧雨なので雨具をつけて歩きはじめる。ヘルメットを着けている人が意外と少ない。
(左)八合目女人堂。(右)八合目上の紅葉。
山腹を巻く道を歩いて七合目行場山荘へ。その脇を過ぎて針葉樹林の中、雨で滑りやすい木段をジグザグに登る。尾根の左下を行く道から、尾根上の直登に。所々に残りの距離数を示す標柱。針葉樹の中に色づいた広葉樹が混在する。両側はダケカンバと背の高い笹で視界は優れない。ダケカンバがハイマツに変わると間もなく八合目女人堂。ここからは周辺山腹の紅葉が美しい。信仰の山らしく多くの石碑がある。
(左)ハイマツの登り。(右)ハイマツが見えなくなり火山性の石が多くなる。
左にトラバースし右折する場所にも多くの石碑や像がある。両側ハイマツの登りが続く。いくつかの石像を傍に見ながら登れば、ハイマツから溶岩がゴロゴロした登りに。視界が開けるものの、周囲は霧に囲まれている。馬の背状に少し緩んだ先は、大きな岩が重なる急登。周囲には火山灰が積もっている。岩の斜面にへばりつく石室山荘に到着し、その先ひと登りで廃業となった九合目覚明堂。
(左)石室山荘直下は岩の重なる急登。(右)石室山荘。
勾配はやや緩み、尾根の左下を行き二ノ池への道を右に分ける。晴れていれば展望が広がるのだろうが、霧の中でほぼ視界がない。植物がない殺伐とした中、木材の土留めがある緩やかな登りを進めば、剣ヶ峰の山頂直下。そこから階段を登り山頂に到着、霧で展望皆無。山頂や直下の小屋は噴火の被害が痛々しい。思わず手を合わせる。噴火対策のシェルターが設置されているが、今日は雨を凌ぐのに役に立った。
(左)二ノ池分岐。(右)剣ヶ峰山頂直下。階段の上が山頂。右は噴火シェルター。
下山は往路を戻った。霧雨の中、展望はほとんどなく御嶽山の魅力を感じたとはいえないのかもしれない。下山中に一瞬霧が晴れて、八合目付近の紅葉が見渡せたのが一番の見どころだった。
[参考]御岳ロープウェイ 往復2,600円
2018年03月14日
高土幾山(南木曽町/岐阜県中津川市)
馬籠峠1000-1048山道へ-1118高土幾山1140-1206林道へ-1238馬籠峠
「信州ふるさと120山」に選ばれていたので気になっていた山。どの程度の魅力があるのか、少々の躊躇いはあったが、いずれにしても登ってみないことには。登山口は妻籠宿と馬籠宿の間にある馬籠峠。いまは長野・岐阜の県境だが、馬籠宿を含む旧山口村が岐阜県に編入される前は南木曽町と山口村の町村境であった。
(左)馬籠峠から西(右)に入る林道を進む。(右)林道は自然林と熊笹の中を進む。
峠の少し南側の路側スペースに車をとめ、西側に入る林道(作業道七ツ平線)を進む。周囲は桧林から、すぐに熊笹と自然林の気持ちよい林相となる。ときどき分岐する送電巡視路は無視して、メインの林道を進む。小ピークを左右に巻きながら緩やかに林道を進むと、右手に送電鉄塔があらわれ周囲は笹原に。南に恵那山方面、北に南木曽岳と中央アルプスの稜線を展望。早すぎるのが残念だが、ここが本日一番の展望地。
(左)最初の送電鉄塔。笹原が広がる。(右)送電鉄塔から南木曽岳と中央アルプスの眺め。
林道は山腹の左を大きく回り込んだ後、2つ目の送電鉄塔に至り、再び恵那山と中央アルプスの展望を目にする。3つ目の送電鉄塔を左に見て進み、左から林道が合流。「林道西山線」の標識がある。その先、右に大きく曲がる点が山道への取付き点。「間伐展示林」の看板があり、すぐ先の「火の用心」の看板と赤テープの箇所から左に入る。入口はヤブがかっているが、まっすぐ進めば尾根上に出て薄い踏み跡があらわれる。
(左)林道から左の山道に入る。
山頂まではずっと薄暗い桧林の中。踏み跡は薄いが、赤テープを目印に尾根上を進む。989ピークを越え、本日はじめての登りらしい登りで2つめの小ピーク。尾根は少し左に曲がりながら、ヤセ尾根状となるので道も明瞭に。足元に石が多い登りを進めば、桧林の中、笹に埋もれがちな三角点がたたずむだけの高土幾山山頂に到着。山名標すら見あたらない。展望は皆無。
下山は往路をそのまま戻った。登山の前半は林道、後半は薄い踏み跡。山頂間近では、ずっと薄暗い桧林の中を歩いただけ。むしろ、ところどころ送電鉄塔からの展望や自然林の美しさが楽しめたのは前半の林道部分。ふつうの登山とは違う感覚だった。
(左)桧林の中、微かな踏み跡を進む。(右)樹林に囲まれた高土幾山山頂。
「信州ふるさと120山」に選ばれていたので気になっていた山。どの程度の魅力があるのか、少々の躊躇いはあったが、いずれにしても登ってみないことには。登山口は妻籠宿と馬籠宿の間にある馬籠峠。いまは長野・岐阜の県境だが、馬籠宿を含む旧山口村が岐阜県に編入される前は南木曽町と山口村の町村境であった。
(左)馬籠峠から西(右)に入る林道を進む。(右)林道は自然林と熊笹の中を進む。
峠の少し南側の路側スペースに車をとめ、西側に入る林道(作業道七ツ平線)を進む。周囲は桧林から、すぐに熊笹と自然林の気持ちよい林相となる。ときどき分岐する送電巡視路は無視して、メインの林道を進む。小ピークを左右に巻きながら緩やかに林道を進むと、右手に送電鉄塔があらわれ周囲は笹原に。南に恵那山方面、北に南木曽岳と中央アルプスの稜線を展望。早すぎるのが残念だが、ここが本日一番の展望地。
(左)最初の送電鉄塔。笹原が広がる。(右)送電鉄塔から南木曽岳と中央アルプスの眺め。
林道は山腹の左を大きく回り込んだ後、2つ目の送電鉄塔に至り、再び恵那山と中央アルプスの展望を目にする。3つ目の送電鉄塔を左に見て進み、左から林道が合流。「林道西山線」の標識がある。その先、右に大きく曲がる点が山道への取付き点。「間伐展示林」の看板があり、すぐ先の「火の用心」の看板と赤テープの箇所から左に入る。入口はヤブがかっているが、まっすぐ進めば尾根上に出て薄い踏み跡があらわれる。
(左)林道から左の山道に入る。
山頂まではずっと薄暗い桧林の中。踏み跡は薄いが、赤テープを目印に尾根上を進む。989ピークを越え、本日はじめての登りらしい登りで2つめの小ピーク。尾根は少し左に曲がりながら、ヤセ尾根状となるので道も明瞭に。足元に石が多い登りを進めば、桧林の中、笹に埋もれがちな三角点がたたずむだけの高土幾山山頂に到着。山名標すら見あたらない。展望は皆無。
下山は往路をそのまま戻った。登山の前半は林道、後半は薄い踏み跡。山頂間近では、ずっと薄暗い桧林の中を歩いただけ。むしろ、ところどころ送電鉄塔からの展望や自然林の美しさが楽しめたのは前半の林道部分。ふつうの登山とは違う感覚だった。
(左)桧林の中、微かな踏み跡を進む。(右)樹林に囲まれた高土幾山山頂。
山吹山(木曽町)
徳音寺集落・林道終点登山口1427-1500山吹山1518-1541登山口
高土幾山からの帰路、まだ時間も早いのでもうひと山と考え、国道19号沿いから手早く取付ける山吹山に登った。木曽谷を北上すると、宮ノ越地区の北側に立ちあがるこの山が見える。毎夏8月14日に「らっぽしょ」という、山頂南斜面に「木」の火文字を燃え上がらせる行事が行われる。その火を木曽義仲の菩提寺・徳音寺まで運ぶという。
(左)赤松林の中のジグザグの登り。
徳音寺集落内の細い道には、山吹山を示す標識が随所にある。それに従い、集落北端の舗装終点まで車を入れる。「山吹山のろし台」の説明板の前に駐車。林道を少し進んで流れを右に渡り、竹林を過ぎると桧林となり、道は右へと山腹を大きく巻いて行く。左右と折り返すと、周囲は赤松林にかわる。中間で右手に木曽駒を望む展望地が一箇所。
(左)山頂手前にある四阿。(右)「らっぽしょ」で火文字が燃やされる斜面。
一定の斜度でジグザグを繰り返す広い道を登り、山上稜線に出たら右へ。稜線の南側には金網やロープが設けられている。その下が「らっぽしょ」の斜面らしい。ベンチと四阿が設けられ水が引かれている。その先、緩やかな道を進めば山吹山山頂。3階建ての木製展望櫓があるけれど、床板が抜け落ちている箇所も。
櫓に登らなくても伐採された南面の展望は楽しめる。目の前に中ア前衛の水沢山や大棚入山。その右に木曽駒がのぞく。下山は往路を戻った。短時間で登れる山だけれど、山頂部からの展望は思いのほか楽しめた。夏の行事は目にしたことがないけれど、少し興味がわいた。
(左)山吹山山頂。3階建ての展望櫓があるが、一部、床が抜けている。(右)山吹山山頂から、水沢山・大棚入山、その右奥に木曽駒。
高土幾山からの帰路、まだ時間も早いのでもうひと山と考え、国道19号沿いから手早く取付ける山吹山に登った。木曽谷を北上すると、宮ノ越地区の北側に立ちあがるこの山が見える。毎夏8月14日に「らっぽしょ」という、山頂南斜面に「木」の火文字を燃え上がらせる行事が行われる。その火を木曽義仲の菩提寺・徳音寺まで運ぶという。
(左)赤松林の中のジグザグの登り。
徳音寺集落内の細い道には、山吹山を示す標識が随所にある。それに従い、集落北端の舗装終点まで車を入れる。「山吹山のろし台」の説明板の前に駐車。林道を少し進んで流れを右に渡り、竹林を過ぎると桧林となり、道は右へと山腹を大きく巻いて行く。左右と折り返すと、周囲は赤松林にかわる。中間で右手に木曽駒を望む展望地が一箇所。
(左)山頂手前にある四阿。(右)「らっぽしょ」で火文字が燃やされる斜面。
一定の斜度でジグザグを繰り返す広い道を登り、山上稜線に出たら右へ。稜線の南側には金網やロープが設けられている。その下が「らっぽしょ」の斜面らしい。ベンチと四阿が設けられ水が引かれている。その先、緩やかな道を進めば山吹山山頂。3階建ての木製展望櫓があるけれど、床板が抜け落ちている箇所も。
櫓に登らなくても伐採された南面の展望は楽しめる。目の前に中ア前衛の水沢山や大棚入山。その右に木曽駒がのぞく。下山は往路を戻った。短時間で登れる山だけれど、山頂部からの展望は思いのほか楽しめた。夏の行事は目にしたことがないけれど、少し興味がわいた。
(左)山吹山山頂。3階建ての展望櫓があるが、一部、床が抜けている。(右)山吹山山頂から、水沢山・大棚入山、その右奥に木曽駒。
2017年05月07日
糸瀬山(大桑村)
登山口850-922松原よこて-945丸屋の鳥屋950-1028山居の鳥屋1033-1053[1630圏平坦地]-1135糸瀬山(三角点~のろし岩)1152-1200青ナギ(中央アルプス展望地)1232-1303山居の鳥屋-1325丸屋の鳥屋-1344松原よこて1349-1411登山口
低山派は南木曽岳・上松風越山とあわせて木曽三山というらしい。木曽の山は檜林が覆うイメージがあるけれど、登ってみると中間部までは新緑が美しく、上部ではダケカンバの美林も楽しめた。展望は優れない山だが、それでも山頂下で中央アルプスの大展望が開ける。単調な登りが続くものの道は歩きやすく、ブリキに穴をあけた案内標識が随所に設置されて道に迷う心配はない。
(左)登山口。左の階段を上って歩きはじめる。
国道19号沿いに大きな「糸瀬山登山口」の看板があり、東側に折れる。各所の案内板に従えば舗装道が登山口まで導いてくれる。登山口には3台ほどの駐車スペース、登山届記入箱がある。金属製階段を上がって檜林・杉林の中を歩きはじめる。右手の山腹をひと登りで小尾根にのり、左折して右へと水平のトラバース。「糸セ山左」の道標に従い左折して尾根を直登し、1091m三角点東の「松原よこて」に到着。右へと尾根をたどる。
(左)「松原よこて」の標識がある。(右)「丸屋の鳥屋」付近の明るい尾根道。
檜植林地を右手に見た後、その先の小ピークは右下を巻く。周囲は新緑にツツジの花も見られる。巻き終わると東へと尾根を急登する。1220m標高点に登りつき尾根は左に曲がり「丸屋の鳥屋」の標識。鳥屋とはカスミ網猟の痕跡らしい。地面を低い熊笹が覆い、新緑の雑木の尾根道は気持ちよい。尾根は徐々に勾配を増し「まむし坂」の急坂を登れば、炭焼窯の跡らしい石積みの穴がある「山居の鳥屋」。
その先は、1630m圏の平地を挟んでやや単調な登りが続く。亜高山的な針葉樹林帯の中、断続的にあらわれるダケカンバの美林に気持ちを紛らわす。標高1810m付近の右手「青ナギ」と呼ばれる崩壊地で展望が開ける。上下2箇所あり、上部の方が広々としている。目の前に意外に大きく中央アルプス南部の山並が広がる。正面は空木岳から南駒、左は三ノ沢岳から右は越百・安平路あたりだろうか。
(左)針葉樹林が続く中、断続的にダケカンバの林があらわれる。(右)山頂の少し下で中央アルプスの展望が開ける。
「しらび平」の標識を過ぎると坂は緩み、わずかで山頂。深い針葉樹林帯の中、大岩が累々としている。右手から回り込むようにして中央部の岩を目指すと、岩に埋め込まれた赤い三角点がある。残雪を踏んで奥に進めば、すぐ先に「のろし岩」の巨岩がある。梯子とその上に鎖が付けられているが、私にはどうも危なっかしい。無理をすることもないと思い、岩に登るのは途中で断念。
(左)糸瀬山山頂。奥の大岩の上に赤く塗られた三角点が埋め込まれている。周囲は深い針葉樹林。(右)山頂のすぐ先に巨岩「のろし岩」。
山頂部は展望もなく薄暗いので、中央アルプス展望地「青ナギ」まで戻り、道脇で大展望を眺めながら休憩とした。下山は往路をそのまま戻った。下山途中、まむし坂付近で前方を熊が横切るのが見えた。熊鈴とラジオをつけていたので熊は逃げ去り、大事には至らなかった。途中出会った登山者は2組3人だけだった。
低山派は南木曽岳・上松風越山とあわせて木曽三山というらしい。木曽の山は檜林が覆うイメージがあるけれど、登ってみると中間部までは新緑が美しく、上部ではダケカンバの美林も楽しめた。展望は優れない山だが、それでも山頂下で中央アルプスの大展望が開ける。単調な登りが続くものの道は歩きやすく、ブリキに穴をあけた案内標識が随所に設置されて道に迷う心配はない。
(左)登山口。左の階段を上って歩きはじめる。
国道19号沿いに大きな「糸瀬山登山口」の看板があり、東側に折れる。各所の案内板に従えば舗装道が登山口まで導いてくれる。登山口には3台ほどの駐車スペース、登山届記入箱がある。金属製階段を上がって檜林・杉林の中を歩きはじめる。右手の山腹をひと登りで小尾根にのり、左折して右へと水平のトラバース。「糸セ山左」の道標に従い左折して尾根を直登し、1091m三角点東の「松原よこて」に到着。右へと尾根をたどる。
(左)「松原よこて」の標識がある。(右)「丸屋の鳥屋」付近の明るい尾根道。
檜植林地を右手に見た後、その先の小ピークは右下を巻く。周囲は新緑にツツジの花も見られる。巻き終わると東へと尾根を急登する。1220m標高点に登りつき尾根は左に曲がり「丸屋の鳥屋」の標識。鳥屋とはカスミ網猟の痕跡らしい。地面を低い熊笹が覆い、新緑の雑木の尾根道は気持ちよい。尾根は徐々に勾配を増し「まむし坂」の急坂を登れば、炭焼窯の跡らしい石積みの穴がある「山居の鳥屋」。
その先は、1630m圏の平地を挟んでやや単調な登りが続く。亜高山的な針葉樹林帯の中、断続的にあらわれるダケカンバの美林に気持ちを紛らわす。標高1810m付近の右手「青ナギ」と呼ばれる崩壊地で展望が開ける。上下2箇所あり、上部の方が広々としている。目の前に意外に大きく中央アルプス南部の山並が広がる。正面は空木岳から南駒、左は三ノ沢岳から右は越百・安平路あたりだろうか。
(左)針葉樹林が続く中、断続的にダケカンバの林があらわれる。(右)山頂の少し下で中央アルプスの展望が開ける。
「しらび平」の標識を過ぎると坂は緩み、わずかで山頂。深い針葉樹林帯の中、大岩が累々としている。右手から回り込むようにして中央部の岩を目指すと、岩に埋め込まれた赤い三角点がある。残雪を踏んで奥に進めば、すぐ先に「のろし岩」の巨岩がある。梯子とその上に鎖が付けられているが、私にはどうも危なっかしい。無理をすることもないと思い、岩に登るのは途中で断念。
(左)糸瀬山山頂。奥の大岩の上に赤く塗られた三角点が埋め込まれている。周囲は深い針葉樹林。(右)山頂のすぐ先に巨岩「のろし岩」。
山頂部は展望もなく薄暗いので、中央アルプス展望地「青ナギ」まで戻り、道脇で大展望を眺めながら休憩とした。下山は往路をそのまま戻った。下山途中、まむし坂付近で前方を熊が横切るのが見えた。熊鈴とラジオをつけていたので熊は逃げ去り、大事には至らなかった。途中出会った登山者は2組3人だけだった。
2016年12月04日
児野山(城山)(木曽町)
木曽福島・大手町駐車場940-1020権現滝1025-1120児野山1155-1242福島城址1252-1305紅葉ヶ丘1310-1335大手町駐車場
(左)案内板のある登山口。(右)四阿の前から権現滝を見上げる。
木曽福島中心部の町営大手町駐車場に車をとめ、木曽川右岸を下流へ歩く。すぐ右手に「城山自然遊歩道」の案内板。少し登ると道は沢沿いになり、緩急を繰り返しながら進む。落葉樹と杉林。大きく左から回り込んで権現滝を見上げる広場に出る。四阿や地図・説明板がある。右に紅葉ヶ丘への道を分けジグザグに登り左への長いトラバース。
(左)前方の稜線へと道は登っていく。(右)児野山山頂。樹林に囲まれている。
再び、右の山腹へジグザグに登った後は、左下に涸れた沢を見て進む。雑木の落葉とも違い、サワラ・ヒノキに針葉樹・広葉樹の混在した林相が美しい。沢の源頭となり、小さな鞍部に登りつき尾根に出る。右手進むと程なく児野山山頂。展望のない樹林の中に三角点が佇みベンチがある。少し進んだ無線小屋の脇からは、木の間から御嶽山が全容を見せていた。
(左)山頂の少し先からは御嶽が見える。(右)福島城址(本丸)は樹林に囲まれた広場。
帰路は尾根伝いの道を選ぶ。山頂直下の分岐から「ブナ大木」方面を目指す。踏み跡はいままでよりも薄いが、赤テープも随所に。緩やかなアップダウンで少しずつ標高を落としていく。尾根伝いながら、樹林の中で展望は皆無。ヒノキ・サワラの中、ところどころブナの大木があるのが意外な感じ。
1194ピークから急降下で広い道に降り立ち、道標に従って左にひと登りすれば福島城址(本丸)。樹林の中の広場。軽トラくらい通れそうな広い道を下ってアンテナと四阿のある紅葉ヶ丘で林道に出る。正面に中央アルプスの展望が開ける。道標に従って、山村代官屋敷を目指せば福島小学校の校庭の脇に降り立つ。駐車場所はすぐ隣である。
(左)紅葉ヶ丘からは木曽福島の街の向こうに中央アルプスの展望。
木曽福島の裏の里山といった程度の認識しかもたずに登ったが、思ったよりは山深い印象。あまり展望はないけれど、ヒノキ・サワラにモミなどの針葉樹、ブナなどの広葉樹も混在する林相は他ではあまり見られないものだと感じた。道標も多くあって安心して歩ける山だと思う。途中出会った登山者は一人だけだった。
[参考]大手町駐車場・駐車料金 4時間半 350円
(左)案内板のある登山口。(右)四阿の前から権現滝を見上げる。
木曽福島中心部の町営大手町駐車場に車をとめ、木曽川右岸を下流へ歩く。すぐ右手に「城山自然遊歩道」の案内板。少し登ると道は沢沿いになり、緩急を繰り返しながら進む。落葉樹と杉林。大きく左から回り込んで権現滝を見上げる広場に出る。四阿や地図・説明板がある。右に紅葉ヶ丘への道を分けジグザグに登り左への長いトラバース。
(左)前方の稜線へと道は登っていく。(右)児野山山頂。樹林に囲まれている。
再び、右の山腹へジグザグに登った後は、左下に涸れた沢を見て進む。雑木の落葉とも違い、サワラ・ヒノキに針葉樹・広葉樹の混在した林相が美しい。沢の源頭となり、小さな鞍部に登りつき尾根に出る。右手進むと程なく児野山山頂。展望のない樹林の中に三角点が佇みベンチがある。少し進んだ無線小屋の脇からは、木の間から御嶽山が全容を見せていた。
(左)山頂の少し先からは御嶽が見える。(右)福島城址(本丸)は樹林に囲まれた広場。
帰路は尾根伝いの道を選ぶ。山頂直下の分岐から「ブナ大木」方面を目指す。踏み跡はいままでよりも薄いが、赤テープも随所に。緩やかなアップダウンで少しずつ標高を落としていく。尾根伝いながら、樹林の中で展望は皆無。ヒノキ・サワラの中、ところどころブナの大木があるのが意外な感じ。
1194ピークから急降下で広い道に降り立ち、道標に従って左にひと登りすれば福島城址(本丸)。樹林の中の広場。軽トラくらい通れそうな広い道を下ってアンテナと四阿のある紅葉ヶ丘で林道に出る。正面に中央アルプスの展望が開ける。道標に従って、山村代官屋敷を目指せば福島小学校の校庭の脇に降り立つ。駐車場所はすぐ隣である。
(左)紅葉ヶ丘からは木曽福島の街の向こうに中央アルプスの展望。
木曽福島の裏の里山といった程度の認識しかもたずに登ったが、思ったよりは山深い印象。あまり展望はないけれど、ヒノキ・サワラにモミなどの針葉樹、ブナなどの広葉樹も混在する林相は他ではあまり見られないものだと感じた。道標も多くあって安心して歩ける山だと思う。途中出会った登山者は一人だけだった。
[参考]大手町駐車場・駐車料金 4時間半 350円
2016年04月29日
坊主岳(塩尻市/辰野町)
イノコ沢橋登山口905-954三角点(1429m)959-1053[標高1800プレート]1058-1122坊主岳山頂1220-1309三角点(1429m)1314-1345登山口
(左)大きな案内板がある奈良井ダム湖畔の登山口。(右)1429m三角点は樹林の中。
山頂からの展望は素晴らしいようだが、以前のガイドブックには深い笹ヤブの急登が続くと書いてあった。しかし、調べると数年前に笹刈りされてしっかりした道がついているとわかった。連休初日、国道19号を南下して、鳥居トンネルの手前を左折する。奈良井ダム湖の畔を走ると、イノコ沢橋の手前に「坊主岳登山道」という大きな案内板。左に入れば3台ほどの駐車スペースがある。2台の車が先着していた。途中、2人の単独行者とすれ違った。
すぐ脇にある登山口から、ジグザグにひと登りすれば石祠が並ぶ場所に出る。その先は赤松の尾根を直線的に急登。巻道の踏み跡が錯綜するが、赤テープを見て尾根上を進む。周囲は赤松から新緑の唐松へと変わっていく。勾配が緩み樹林の中の1429m三角点にたどり着く。しばらくは穏やかな道が続き、気持ちよく歩ける。両側は背の高い笹だが、しっかり切開かれている。唐松と熊笹の道はやや左に曲がり、木の間越しに左に見えていた坊主岳山頂は正面に見えるようになる。
(左)登山道脇にはカンバ類が多い。(右)ところどころ標高を示すプレート。標高1800mあたりは針葉樹も混在。
傾斜は少しずつ増してカンバ類の木々が多くなる。木枝に100mごと標高プレートがあり目安になる。標高1600mのプレートを過ぎ、赤テープのルートが岩頭を左に巻くと尾根は痩せてやや勾配は緩むが、その先は急登が続く。残置ワイヤーがある標高1700m付近からコメツガなど針葉樹が混在するようになる。標高1800mのプレートを過ぎると、木々の間からところどころで展望が開ける。振り返ると中央アルプスの眺め。
最後はこれまで以上の急登が続くが、残りはわずか。石に書かれた「あと10分」の文字が励みになる。右手の仏谷から微かな踏み跡が合流すると、一気に展望の笹原に飛び出す。わずかに歩けば、祠と三角点のある坊主岳山頂に到着する。前方の1961ピークまで笹原の稜線が続いているが、踏み跡は途絶えがち。今日はここまでとする。
(左)坊主岳山頂の祠は西を向く。写真左端には山頂を雲に隠した乗鞍岳。(右)坊主岳山頂から中央アルプス方面。
山頂からの展望は360度。主役はやはり南に見える木曽駒はじめ中央アルプスだろうか。その右に御嶽、乗鞍。祠もそちらを向いている。東方向の伊那谷と南アは、雲にかすんでいる。南東側の目の前には仏谷のピーク、その右に経ヶ岳、左に黒沢山。今日は風が冷たくて雲が多かったが、1時間近くも展望を楽しんでから往路を下山した。急登は多いが笹刈りされて歩きやすく、随所に赤テープもあり道を間違える心配もない。登山口に備え付けのノート脇には、年間登頂者は300人程度と書かれていた。
(左)坊主岳山頂から南東には仏谷ピークが大きい。右に経ヶ岳、左に黒沢山が見える。
(左)大きな案内板がある奈良井ダム湖畔の登山口。(右)1429m三角点は樹林の中。
山頂からの展望は素晴らしいようだが、以前のガイドブックには深い笹ヤブの急登が続くと書いてあった。しかし、調べると数年前に笹刈りされてしっかりした道がついているとわかった。連休初日、国道19号を南下して、鳥居トンネルの手前を左折する。奈良井ダム湖の畔を走ると、イノコ沢橋の手前に「坊主岳登山道」という大きな案内板。左に入れば3台ほどの駐車スペースがある。2台の車が先着していた。途中、2人の単独行者とすれ違った。
すぐ脇にある登山口から、ジグザグにひと登りすれば石祠が並ぶ場所に出る。その先は赤松の尾根を直線的に急登。巻道の踏み跡が錯綜するが、赤テープを見て尾根上を進む。周囲は赤松から新緑の唐松へと変わっていく。勾配が緩み樹林の中の1429m三角点にたどり着く。しばらくは穏やかな道が続き、気持ちよく歩ける。両側は背の高い笹だが、しっかり切開かれている。唐松と熊笹の道はやや左に曲がり、木の間越しに左に見えていた坊主岳山頂は正面に見えるようになる。
(左)登山道脇にはカンバ類が多い。(右)ところどころ標高を示すプレート。標高1800mあたりは針葉樹も混在。
傾斜は少しずつ増してカンバ類の木々が多くなる。木枝に100mごと標高プレートがあり目安になる。標高1600mのプレートを過ぎ、赤テープのルートが岩頭を左に巻くと尾根は痩せてやや勾配は緩むが、その先は急登が続く。残置ワイヤーがある標高1700m付近からコメツガなど針葉樹が混在するようになる。標高1800mのプレートを過ぎると、木々の間からところどころで展望が開ける。振り返ると中央アルプスの眺め。
最後はこれまで以上の急登が続くが、残りはわずか。石に書かれた「あと10分」の文字が励みになる。右手の仏谷から微かな踏み跡が合流すると、一気に展望の笹原に飛び出す。わずかに歩けば、祠と三角点のある坊主岳山頂に到着する。前方の1961ピークまで笹原の稜線が続いているが、踏み跡は途絶えがち。今日はここまでとする。
(左)坊主岳山頂の祠は西を向く。写真左端には山頂を雲に隠した乗鞍岳。(右)坊主岳山頂から中央アルプス方面。
山頂からの展望は360度。主役はやはり南に見える木曽駒はじめ中央アルプスだろうか。その右に御嶽、乗鞍。祠もそちらを向いている。東方向の伊那谷と南アは、雲にかすんでいる。南東側の目の前には仏谷のピーク、その右に経ヶ岳、左に黒沢山。今日は風が冷たくて雲が多かったが、1時間近くも展望を楽しんでから往路を下山した。急登は多いが笹刈りされて歩きやすく、随所に赤テープもあり道を間違える心配もない。登山口に備え付けのノート脇には、年間登頂者は300人程度と書かれていた。
(左)坊主岳山頂から南東には仏谷ピークが大きい。右に経ヶ岳、左に黒沢山が見える。
2015年11月20日
奥三界岳(大桑村/岐阜県中津川市)
夕森キャンプ場奥・川上林道ゲート750-817吊橋への下降点-917夕森田立林道に出る-1004迂回路に入る-1030登山口1035-1105沢登り開始-1124尾根左折-1200奥三界岳山頂1250-1322尾根から右折-1339沢を離れる-1400登山口-1420迂回路下1425-1506夕森田立林道から下降-1558川上林道に出る-1618川上林道ゲート
(左)川上林道ゲート。右手に5台ほどの駐車スペースがある。
その登山ルートの特異性にずっと興味をもっていた奥三界岳。林道・急登・林道歩きというアプローチの末に、ようやく登山口にたどり着くという具合。どんな山なのか、好奇心に抗いがたく出かけることにした。
数日前まで天気予報はよかったが、中津川市坂下の町を過ぎて夕森公園に着く頃には小雨も降っていた。キャンプ場を過ぎて、5台ほど駐車できる川上林道のゲート前まで車を入れる。そこからは忘鱗の滝、銅穴の滝などを見ながら渓流沿いの川上林道(舗装)を30分ほど歩く。
(左)川上林道からいったん沢に下って吊橋を渡る。その先は急登。(右)上部の夕森田立林道に出る。
しばらく林道を歩いて、案内板に従って左下の沢に下りすぐ吊橋を渡る。そこからは上部の林道(夕森田立林道)まで標高差300m余の登り。急登ではあるが大きく電光を切るので、さほど傾斜は感じない。むしろ濡れた落葉に滑らないよう気をつける。ヒノキ林の中、右へ左へと長い斜上トラバースのあと、熊笹と樹林の尾根上を登れば林道に飛び出す。前方の奥三界岳方面や渓谷美を見ながら、50分ほどこの林道をたどる。
(左)林道から左の迂回路(実質はショートカット)に入る地点。前方に昇龍の滝が見える。(右)林道終点にはプレハブ小屋があり、奥右手から登山道がはじまる。
この先、林道分岐点の直前に、左に迂回せよとの案内板。前方に見える昇竜の滝の下の木橋が危険なためと推測されるが、一段上の林道へショートカットする階段状の道が新設されている。飛び出した林道は荒れ放題。崩れ落ちた落石の上を慎重に進む。ようやくプレハブ小屋の建つ登山口に到着。
右に直角に曲がり、本格的な登山道となる。ヒノキ林を登ると笹原が開ける。霧が深くて遠望はのぞめないが、笹原に立ち枯れの木が点在し印象的だ。右へトラバース気味に登った先は、水が流れる沢の中を登る。さらに再び右へトラバースした後(奥三界山1.5km50分の掲示)、道は大きく左に曲がり尾根にのる。
(左)笹原が広がり立ち枯れの木も。(右)沢の中を登る。
最初はヒノキ林、やがて亜高山的な針葉樹林帯の中に緩やかなアップダウンが続く。足元はぬかるみが多い。その先の笹原が開けたところが「夕森庭園」と呼ばれるところか(奥三界山1km20分の掲示)。直線状の登りの後、傾斜が緩むと、そろそろ山頂かと思わせてからけっこう長い。苔むした針葉樹林帯の中、右手に小さな池を見てほどなく、崩れそうなヤグラが建つ、奥三界岳の山頂に到着。
樹林帯の中、山頂周辺は切り開かれ、晴れていれば御嶽が望めるのだろう。が、今日は深い霧に覆われ展望は皆無。こんな日に他に登山者はいないと思っていたが、2組が前後して山頂に到着した。下山は往路を戻った。下山途中から晴れ間ものぞくようになったせいもあり、下山にも時間がかかった。林道ゲートに着くと程なく、陽が陰り始める時間だった。(奥三界「山」という名が正しいという指摘も多いけれど、ここでは国土地理院地形図に従い便宜的に奥三界「岳」とした)
(左)笹原が開けたところ。「夕森庭園」と呼ばれるのはこのあたりか。(右)ヤグラのある奥三界岳山頂。今日は霧で展望なし。
(左)川上林道ゲート。右手に5台ほどの駐車スペースがある。
その登山ルートの特異性にずっと興味をもっていた奥三界岳。林道・急登・林道歩きというアプローチの末に、ようやく登山口にたどり着くという具合。どんな山なのか、好奇心に抗いがたく出かけることにした。
数日前まで天気予報はよかったが、中津川市坂下の町を過ぎて夕森公園に着く頃には小雨も降っていた。キャンプ場を過ぎて、5台ほど駐車できる川上林道のゲート前まで車を入れる。そこからは忘鱗の滝、銅穴の滝などを見ながら渓流沿いの川上林道(舗装)を30分ほど歩く。
(左)川上林道からいったん沢に下って吊橋を渡る。その先は急登。(右)上部の夕森田立林道に出る。
しばらく林道を歩いて、案内板に従って左下の沢に下りすぐ吊橋を渡る。そこからは上部の林道(夕森田立林道)まで標高差300m余の登り。急登ではあるが大きく電光を切るので、さほど傾斜は感じない。むしろ濡れた落葉に滑らないよう気をつける。ヒノキ林の中、右へ左へと長い斜上トラバースのあと、熊笹と樹林の尾根上を登れば林道に飛び出す。前方の奥三界岳方面や渓谷美を見ながら、50分ほどこの林道をたどる。
(左)林道から左の迂回路(実質はショートカット)に入る地点。前方に昇龍の滝が見える。(右)林道終点にはプレハブ小屋があり、奥右手から登山道がはじまる。
この先、林道分岐点の直前に、左に迂回せよとの案内板。前方に見える昇竜の滝の下の木橋が危険なためと推測されるが、一段上の林道へショートカットする階段状の道が新設されている。飛び出した林道は荒れ放題。崩れ落ちた落石の上を慎重に進む。ようやくプレハブ小屋の建つ登山口に到着。
右に直角に曲がり、本格的な登山道となる。ヒノキ林を登ると笹原が開ける。霧が深くて遠望はのぞめないが、笹原に立ち枯れの木が点在し印象的だ。右へトラバース気味に登った先は、水が流れる沢の中を登る。さらに再び右へトラバースした後(奥三界山1.5km50分の掲示)、道は大きく左に曲がり尾根にのる。
(左)笹原が広がり立ち枯れの木も。(右)沢の中を登る。
最初はヒノキ林、やがて亜高山的な針葉樹林帯の中に緩やかなアップダウンが続く。足元はぬかるみが多い。その先の笹原が開けたところが「夕森庭園」と呼ばれるところか(奥三界山1km20分の掲示)。直線状の登りの後、傾斜が緩むと、そろそろ山頂かと思わせてからけっこう長い。苔むした針葉樹林帯の中、右手に小さな池を見てほどなく、崩れそうなヤグラが建つ、奥三界岳の山頂に到着。
樹林帯の中、山頂周辺は切り開かれ、晴れていれば御嶽が望めるのだろう。が、今日は深い霧に覆われ展望は皆無。こんな日に他に登山者はいないと思っていたが、2組が前後して山頂に到着した。下山は往路を戻った。下山途中から晴れ間ものぞくようになったせいもあり、下山にも時間がかかった。林道ゲートに着くと程なく、陽が陰り始める時間だった。(奥三界「山」という名が正しいという指摘も多いけれど、ここでは国土地理院地形図に従い便宜的に奥三界「岳」とした)
(左)笹原が開けたところ。「夕森庭園」と呼ばれるのはこのあたりか。(右)ヤグラのある奥三界岳山頂。今日は霧で展望なし。
2015年11月12日
南木曽岳 [蘭登山口から上の原へ](南木曽町)
南木曽駅815=(南木曽町地域バス・保神行)=834尾越バス停840-(車道)-935登山口・林道ゲート940-(林道)-1000登山道-1016下山路分岐1022-1052高野槇林-1108木製の空中回廊1113-1155南木曽岳山頂(三角点)1205-1215女岩1252-1308摩利支天・展望台1313-1332女岩1340-1447尾根左折点1454-1432二本の送電鉄塔1437-1603上の原登山口-1631南木曽駅
(右)林道ゲート前には登山届のポストや案内板など。この先20分ほど林道歩きの後、登山道に入る。
南木曽岳へは蘭(あららぎ)側から周回して登る人が多いと思うが、上の原側の道にも関心があり今回の行程を組んだ。南木曽駅前からのバスを尾越で降りると、北に南木曽岳が聳えている。登山口の駐車場まで約1時間の車道歩き。蘭キャンプ場のしばらく先に広い登山者用駐車場や登山届のポストなどがあり、その先が林道ゲート。20分ほど未舗装林道を歩き、「金時の産湯の池」を過ぎると左側に案内標識があり、登山道となる。
(左)高野槇の美林の中を登ると尾根筋に出る。(右)大岩を迂回するように空中回廊のような木製階段がつけられている。
ヒノキ林の中、途中で木橋を渡りゆるやかに登れば、下山路合流点。そこを左折すると、勾配が増す。「金時の洞窟」を過ぎ、岩がゴロゴロした沢を登れば「喉の滝」の説明板。樹林に遮られて、よくわからない。左にトラバース気味に進み、金名水の水場を過ぎると熊笹の急坂となる。
説明板のある高野槇の美林が続き、その先で尾根に乗る。鎖のある急坂の後は、大岩の右手に空中回廊のような木製階段が続く。その先は容赦のない急登。笹が煩わしいところもあり、少々苦しいところ。右手遠くに「かぶと岩」が見えれば山頂も近い。たどりついた山頂(三角点)は樹林の中で、展望は皆無。
(左)樹林の中の南木曽岳山頂(三角点)。(右)笹原が広がり避難小屋の向こうに中央アルプスの全体が望める。小屋の向こうに女岩の展望台がある。
その先、やや下れば笹原が開け、いままでの樹林帯から一気に解放される。バイオトイレを併設した避難小屋を過ぎるとすぐ、上の原への道が左へ分岐し、右には女岩の展望台。素晴らしい景色が広がる。右には中央アルプスのほぼ全容、左は御嶽、乗鞍、そして穂高連峰までを見渡す。せっかくだから摩利支天まで足をのばす。笹原を下り樹林帯を登った先の摩利支天の大岩の展望地では、正面に恵那山方面が見渡せる。
女岩まで戻り、上の原への下山路へ。小ピークに登り返しながら緩急の下りが続く。適度に案内表示もあり、落葉の積もる、思っていたよりよい道。30分ほどで道は緩み、落葉したカンバ類の明るい林に。1291ピークから急下降し、その先で北尾根上の道は、直角に左折し西への支尾根上をたどる。概ね右手はヒノキ林、左は紅葉した広葉樹林。送電鉄塔の下を通り、尾根を最後まで丁寧にたどって登山口へ下りつく。その先は南木曽駅まで車道を歩いた。私にとっては長丁場だったが、充実した山行となった。
(左)摩利支天への道から見た南木曽岳山頂部全体。左端が三角点峰、右端が女岩。(右)上の原への下山路。北尾根の中間部では落葉の明るい林となる。
(右)林道ゲート前には登山届のポストや案内板など。この先20分ほど林道歩きの後、登山道に入る。
南木曽岳へは蘭(あららぎ)側から周回して登る人が多いと思うが、上の原側の道にも関心があり今回の行程を組んだ。南木曽駅前からのバスを尾越で降りると、北に南木曽岳が聳えている。登山口の駐車場まで約1時間の車道歩き。蘭キャンプ場のしばらく先に広い登山者用駐車場や登山届のポストなどがあり、その先が林道ゲート。20分ほど未舗装林道を歩き、「金時の産湯の池」を過ぎると左側に案内標識があり、登山道となる。
(左)高野槇の美林の中を登ると尾根筋に出る。(右)大岩を迂回するように空中回廊のような木製階段がつけられている。
ヒノキ林の中、途中で木橋を渡りゆるやかに登れば、下山路合流点。そこを左折すると、勾配が増す。「金時の洞窟」を過ぎ、岩がゴロゴロした沢を登れば「喉の滝」の説明板。樹林に遮られて、よくわからない。左にトラバース気味に進み、金名水の水場を過ぎると熊笹の急坂となる。
説明板のある高野槇の美林が続き、その先で尾根に乗る。鎖のある急坂の後は、大岩の右手に空中回廊のような木製階段が続く。その先は容赦のない急登。笹が煩わしいところもあり、少々苦しいところ。右手遠くに「かぶと岩」が見えれば山頂も近い。たどりついた山頂(三角点)は樹林の中で、展望は皆無。
(左)樹林の中の南木曽岳山頂(三角点)。(右)笹原が広がり避難小屋の向こうに中央アルプスの全体が望める。小屋の向こうに女岩の展望台がある。
その先、やや下れば笹原が開け、いままでの樹林帯から一気に解放される。バイオトイレを併設した避難小屋を過ぎるとすぐ、上の原への道が左へ分岐し、右には女岩の展望台。素晴らしい景色が広がる。右には中央アルプスのほぼ全容、左は御嶽、乗鞍、そして穂高連峰までを見渡す。せっかくだから摩利支天まで足をのばす。笹原を下り樹林帯を登った先の摩利支天の大岩の展望地では、正面に恵那山方面が見渡せる。
女岩まで戻り、上の原への下山路へ。小ピークに登り返しながら緩急の下りが続く。適度に案内表示もあり、落葉の積もる、思っていたよりよい道。30分ほどで道は緩み、落葉したカンバ類の明るい林に。1291ピークから急下降し、その先で北尾根上の道は、直角に左折し西への支尾根上をたどる。概ね右手はヒノキ林、左は紅葉した広葉樹林。送電鉄塔の下を通り、尾根を最後まで丁寧にたどって登山口へ下りつく。その先は南木曽駅まで車道を歩いた。私にとっては長丁場だったが、充実した山行となった。
(左)摩利支天への道から見た南木曽岳山頂部全体。左端が三角点峰、右端が女岩。(右)上の原への下山路。北尾根の中間部では落葉の明るい林となる。
2015年10月25日
白草山~箱岩山(王滝村/岐阜県下呂市)
黒谷林道ゲート(駐車場)958-1030登山口-1101尾根にのる-1148分岐-1158白草山山頂1245-1253分岐-1305箱岩山山頂-1315分岐-1351尾根から下る-1426登山口-1455林道ゲート
(左)林道ゲートにある案内図。(右)林道歩きの後、右手の木橋を渡り登山道へ。ヒノキ林の中の登りとなる。
秋の晴天が続いている。以前、山頂付近の絶景の写真を見て気になっていた白草山。長野・岐阜県境にあるが登山道は岐阜県側からだけ。中津川から国道257号を北上して下呂市に入り、宮地で右折。案内標識にも導かれながら舗装の黒谷林道へと車を進める。心配していた駐車スペースも林道ゲート付近に何ヶ所かあり、遅い時間の到着だったが空きもあった。
林道ゲート前には登山案内地図がある。道すがら「あと〇km」の案内標もあり、目安になる。ゲートから約30分の林道歩きの後、木橋を渡って登山道に入る。沢沿いを少し上った後は、うす暗いヒノキ林の中、右へそして左へと長い斜上トラバース。道は歩きやすく急登というほどの箇所もない。ジグザグに登った後、尾根筋に出てヒノキ樹林帯から抜けると背丈ほどもある笹原の中を登っていく。右手の展望がところどころ開けるようになる。
(左)尾根に出ると笹原の中の登り。(右)右手前方に白草山山頂部の笹原が見えるようになる。
やがて、ヒノキの木の間越し右手に山頂部の笹原が眺められるようになる。白草山1kmという案内標識を過ぎ、左手に「三ツ岩」があらわれると勾配もゆるみ、間もなく樹林の中の箱岩山との鞍部(分岐)に到着。ここからは一気に開けた笹原の中の道を山頂まで緩やかに登る。正面には白煙を上げる御嶽山の姿が大きい。
分岐から10分ほどで白草山山頂に到着。風が強くてじっとしていると寒い。展望は360度。御嶽山が展望の主役だが、その左には乗鞍。先日登った小秀山が目の前。さらに右手には遠く恵那山が存在感を示していた。鞍部(分岐)まで戻ってから、箱岩山にも登る。箱岩山は西側の展望だけが開けていた。分岐に戻り往路を下山した。急登や危険な個所もなく、家族連れでも楽しめる山。山頂部の展望は素晴らしかったが、ヒノキ林と笹原の山なので、紅葉はほとんど楽しむことはできなかった。
(左)白草山山頂。背後には白煙をあげる御嶽山。(右)白草山から見た箱岩山。
(左)林道ゲートにある案内図。(右)林道歩きの後、右手の木橋を渡り登山道へ。ヒノキ林の中の登りとなる。
秋の晴天が続いている。以前、山頂付近の絶景の写真を見て気になっていた白草山。長野・岐阜県境にあるが登山道は岐阜県側からだけ。中津川から国道257号を北上して下呂市に入り、宮地で右折。案内標識にも導かれながら舗装の黒谷林道へと車を進める。心配していた駐車スペースも林道ゲート付近に何ヶ所かあり、遅い時間の到着だったが空きもあった。
林道ゲート前には登山案内地図がある。道すがら「あと〇km」の案内標もあり、目安になる。ゲートから約30分の林道歩きの後、木橋を渡って登山道に入る。沢沿いを少し上った後は、うす暗いヒノキ林の中、右へそして左へと長い斜上トラバース。道は歩きやすく急登というほどの箇所もない。ジグザグに登った後、尾根筋に出てヒノキ樹林帯から抜けると背丈ほどもある笹原の中を登っていく。右手の展望がところどころ開けるようになる。
(左)尾根に出ると笹原の中の登り。(右)右手前方に白草山山頂部の笹原が見えるようになる。
やがて、ヒノキの木の間越し右手に山頂部の笹原が眺められるようになる。白草山1kmという案内標識を過ぎ、左手に「三ツ岩」があらわれると勾配もゆるみ、間もなく樹林の中の箱岩山との鞍部(分岐)に到着。ここからは一気に開けた笹原の中の道を山頂まで緩やかに登る。正面には白煙を上げる御嶽山の姿が大きい。
分岐から10分ほどで白草山山頂に到着。風が強くてじっとしていると寒い。展望は360度。御嶽山が展望の主役だが、その左には乗鞍。先日登った小秀山が目の前。さらに右手には遠く恵那山が存在感を示していた。鞍部(分岐)まで戻ってから、箱岩山にも登る。箱岩山は西側の展望だけが開けていた。分岐に戻り往路を下山した。急登や危険な個所もなく、家族連れでも楽しめる山。山頂部の展望は素晴らしかったが、ヒノキ林と笹原の山なので、紅葉はほとんど楽しむことはできなかった。
(左)白草山山頂。背後には白煙をあげる御嶽山。(右)白草山から見た箱岩山。